上高地小梨平(35周年記念山行)


35周年記念山行報告

平成25年8月12日〜8月16日

8月12日(月)前穂高岳・奥穂高岳

 参加者:I上(CL)、M賀(SL)、T元、M鍋、M木(計5名)

  5:30小梨平キャンプ場 → 7:30岳沢ヒュッテ(朝食) → 重太郎新道 → 10:30紀美子平 → 
 11:00前穂高岳 → 11:30紀美子平 → 吊尾根 → 奥穂高岳 → 14:00穂高岳山荘(宿泊)

                                                   所要時間8時間30分

【メモ】穂高岳山荘・1泊2食付(夕食・朝弁当)=9500円

    生ビールなし・缶ビール500mℓ=800円

    水=宿泊者は無料。

8月13日(火)ジャンダルム・西穂高岳

 参加者:同上

  4:30穂高岳山荘 → 奥穂高岳 → ジャンダルム → 西穂高岳

   → 西穂独標 → 西穂山荘 → 16:00小梨平キャンプ場

               所要時間11時間30分

【メモ】小梨平キャンプ場

入浴料金=500円 但し、施設利用者が午後4時までに入浴すれば、400円

食堂の生ビール=400円(キャンプ場受付にて割引券あり。券なし550円)

トイレチップ込テント場代=一人600円。

生ビール・焼き鳥(3本)セット=1000円

水1リットル=200円(2リットル購入)

テント泊の者は、小屋内の施設利用は不可。生ビール等野外のベンチで飲食。
トイレもテント場にある簡易トイレのみ使用可。

  ジャンダルム

 穂高に初めて登ったのは、丁度4年前の8月お盆だった。奥穂高岳山頂より

 目の当たりにしたジャンダルムの存在感は、実に圧巻、その勇姿に誰もが魅了される。

 傍らで、登山客が呟いた。「あれを行きたいなあ。しかも、こっちから行きたいなあ。」

 そのとき、既に、俺の心の中では、ジャンダルムと対峙していた。

 果たして、4年後現実のものとなった。

平成25年8月12日小梨平キャンプ場を出発。岳沢より重太郎新道へと高度を稼ぐ。
紀美子平でザックを降ろし、空身で前穂高岳へのピストン。吊尾根を経て、奥穂高岳山頂に立つ。
この奥穂までのコースは、4年前下山の計画にあった。
しかし、実行されなかった。いよいよ、明日、ジャンダルムに立つ。感慨深く、これを背に自分を写真に収めた。

穂高岳山荘に一泊して、翌朝、奥穂から西穂へと向う。二度目のアンザイレン。
一度目は、悪天候の冬山(八ヶ岳の赤岳)だった。
見知らぬ登山客の声が耳に入った。「一人が落ちたら、みんなが落ちる。」その考えは、きっと、
滑落事故の映像から来るのだろうと思った。

ごつごつした岩肌を一歩一歩慎重に進む。一瞬たりとも気が抜けない。緊張の連続。
ふと、気が付いたときには、馬の背を通過していた。
そして、憧れのジャンダルムが眼前に迫った。
そのとき、おそらく小学3〜4年生であろう、孫を引連れたお祖父さんが
頂上へと直登している。悪戦苦闘しながらも何とか登り切った。
すると、今度は、孫が直登する。予想に反して、孫は、するするっと駆け上がった。
子どもは、身軽とは言え、彼は、既に、登山家の素養を蓄えているのだろう。

 我々は、安全のため、直登を避けて、巻き道を選択した。
頂上から下山して来た先程の祖父・孫と交差する。
そして、とうとうジャンダルムの天辺に立った。

 頂上は、想像していたよりも表面積が多かった。

この後も延々と岩稜が連なる。間断なく続く緊張が神経をすり減らし、体力を消耗させる。
こんな感覚は、初めてである。
時折、自分の足元、その直下を見ると、黒々とした砕けた岩の破片が折り重なるように
山の斜面に張り付いている。そこには、登山道で見慣れた茶色の土は存在しない。
天狗のコルで一休みした。ここから岳沢へ下るエスケープルート(天狗沢)がある。

近くに見えた間ノ岳も西穂高岳も、その時空感は遠かった。その間、岩の熱さと冷たさを知る。
太陽熱を享受している岩は、焼けたように熱く、太陽の光を遮蔽している岩は、
ひんやり冷たい。自然の妙味である。

ようやく、西穂高岳山頂に到着。北アルプス屈指の難ルートを無事通過できた安堵感に浸る間も無く、
さらに、岩稜が続く西穂独標へと向う。

西穂独標を少し下ったところで、アンザイレン解除。緊張から解放された瞬間であり、
制限されていた身の自由を取り戻した。
今回、アンザイレンの実地訓練になったが、学ぶことは多く、熟練者の言葉の重みを痛感した。

ここから先は、歩のテンポを速めた。我々の体を加速させたのは、西穂山荘の生ビールであった。
山荘に辿り着くや否や、命を共生した仲間と乾杯!
かつて、これほど深奥なる美味のビールを飲んだことはなかった。幸せが全身に浸み渡っていくのが感じられた。

ほろ酔い気分で、山荘を後に、小梨平キャンプ場へと戻る。下山の道は、甚だしく長かった。
実に体力を要するハードなコースであった。

こうして、4年前の憶いが自分の現身に刻まれたのである。

【余談】(反省)

  下山して、小梨平キャンプ場に着くと、そのままトイレに直行した。トイレ前のベンチにザックを置き、
 ザックから紙を出して、トイレに一旦入ったが、すぐに貴重品を取りに、再びトイレに入って、
 個室にて用をたした。トイレから出て来ると、ザックに引っ掛けてあったヘルメットが無くなっていた。
  トイレの内外にそれぞれ1名不審者がいた。置き引きと判断。
 後日、盗難による被害届を提出した。

 この5日間、穂高の山を満喫し、最高の夏山登山であった。

 大阪あすなろ会T元会長・I上副会長・S口事務局長・M賀顧問・M鍋料理長を始め、
 会員の皆様大変お世話になり有難うございました。

ジャンダルム心に刻む岩肌の

    熱き思いを永久に忘れじ

                                                                    報告:M木